共働き家庭の中には、「130万円の壁」を気にして仕事をセーブしている人は結構いるんじゃないでしょうか。
テレビや新聞であれだけカベカベいってたら気になりますよね。
確かに、129万円の年収と140万円の年収を比べると、129万円人の方が手取りが多くなっちゃいます。いわゆる収入の逆転現象が起きちゃうんです。
ですが、老後のことまでトータルで考えると、130万円の壁を超えて働いた方が断然お得です。
特に、扶養内で働けるようにセーブして働きながら、老後に備えて民間の年金保険に加入している方は、全く意味がないので注意しましょう。
130万の壁とは
130万円の壁とは、妻の社会保険料を払う必要が生じるかの境目の年収のことです。
(なお、従業員500人以上の企業に勤める場合は、130万円の壁ではなく106万円の壁になりますが、この記事では割愛します。)
で、この壁を越えるか越えないかで、残念ながら手取りの逆転が発生しちゃうんですね。
それでは、具体的に年間の手取り額を計算してみましょう。
手取り額の計算にはこちらのサイトを使いました。
内容 | 年収120万円の場合 | 年収135万円の場合 |
所得税 | 8500円 | 6257円 |
住民税 | 2万7000円 | 2万2514円 |
健康保険料 | 0円 | 6万7769円 |
厚生年金保険料 | 0円 | 12万339円 |
雇用保険料 | 0円 | 6750円 |
負担合計 | 3万5500円 | 22万3629円 |
手取り額 | 116万4500円 | 112万6371円 |
…確かに年収120万円と年収135万円を比較すると、年収135万円の方が手取りが4万円も少ないですね。額面は15万円も多いのに。
もう少し詳しく負担増額分を見てみると、
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
の金額が大きく増えていることが分かります。
特に健康保険と厚生年金だけで19万円近く負担が増えていますね。
ですが、これらは「税金」ではなく「保険料」なんですね。
つまり、これらのお金を払うことで、将来的には自分のメリットとして帰ってくるんです。
厚生年金の負担=将来年金として戻ってくる
まずは厚生年金の負担について考えてみましょう。
年収135万円の場合では、年間約12万円、月々1万円を支払うことになります。
しかし、以前お話したように、厚生年金は基本的に得をする制度です。
「年金は払い損」はよくある間違い!!実際は払わないと損なんです
ですので、月々1万円を払っているとはいっても、将来的には払った以上のお金を受け取れるお得な制度なんです。
それでは、具体的に計算してみましょう。
年収135万円のパートを20年間続けた場合を考えてみます。
20年間での保険料払い込み総額は、
12万339円 × 20年 = 240万6780円
になります。
一方、厚生年金を払ったことで増える年金額は、1年間当たり
135万 ÷ 12 × 5.769/1000×240か月 = 15万5763円
となります。
ですので、65歳から女性の平均寿命の87歳までの22年間厚生年金を受け取れるとすると、
15万5763 × 22年 = 342万6786円
になります。
つまり、130万円の壁を超えると、年金に関しては約100万円得するわけですね。
健康保険の負担=病気になった時の保障
次に、健康保険の支出についても考えてみましょう。
健康保険の支出は年間6万円以上に上りますね。なかなか大きい金額です。
ですが、健康保険の支出もやはりメリットがあるんです。
会社の健康保険組合にもよりますが、国民保険よりも保障が充実している場合が多いです。
例えば、病気やケガで働けなくなったときに傷病手当金が支給されます。
また、入院や手術をした際の1月あたりの医療費の上限 (高額療養費制度)についても補助がももらえる場合があります。例えば、国民健康保険だと月9万円近く負担しなければならないのに、会社の健康保険に加入していれば月2万で済む、とかですね。
国民健康保険とどのような違いがあるのかは勤めている会社によりますので、一度確認してみることをオススメします。
雇用保険の負担=仕事を辞めた後再就職までの時の収入
雇用保険に加入できるのも大きいです。
パートをやめたりしたときに、再就職するまでの間に給付金を受け取ることができるからです。
実際の雇用保険に支給額については、こちらのサイトで計算できます。
例えば、30代のパートで5年以上勤務していた方なら、会社都合で離職した場合に最大180日間給付金を受け取ることができます。
しかも、年収135万円だった場合、もらえる金額は月額8万8000円にもなります。
これは かなりありがたいですね。
退職後もゆとりをもって次のパート先を探すことができますね。
まとめ
今回は、130万円 (106万円)の壁についてお話しました。
少しでも得をしたいという気持ちは分かりますが、長い目で見れば壁を越えて働いた方がお得になる場合が多いです。
ですので、あまり壁は気にせずに好きなように働くのがいいかと思います。