今回は、「貯蓄型保険はお得なのか」についてお話します。
保険を検討する際に、貯蓄型保険に惹かれる方は多いんじゃないでしょうか。
だって、保険としての保障を受けられる上に払った保険料が積み立てられるうえ、満期時には払い込んだ金額以上のお金を貰えますからね。
保険、貯蓄、投資の3つを兼ね備えた一石三鳥の商品に見えますよね。
また、当サイトでは基本的に保険は必要ないというお話をしていますが、「貯蓄型保険は損しないなら入ってもいいんじゃない?」と思う方もいるでしょう。
では、本当に貯蓄型保険はお得なんでしょうか?
実は、貯蓄型保険はとても中途半端な商品なんです。
保険としては月々の支払が高いですし、貯蓄にしては中途解約をすると元本割れしますし、投資としてはリターンが少ないんです。
貯蓄型保険に加入するメリットは薄いと言えるでしょう。
貯蓄型保険って何?
保険でありながら貯蓄性もある保険のことを貯蓄型保険と言います。
例えば、終身保険は貯蓄型保険の一種ですね。
終身保険では、死亡保障が一生涯続く上に、一定期間 (例えば定年まで)保険料を払い続ければ、それまで払い込んだ金額以上の解約払戻り金がもらえます。
例えば、30歳から60歳まで計100万円保険料を支払い、60歳時点で解約したら110万円もらえる、といった具合です。
つまり、貯蓄型保険とは、生命保険としての保障を持ちつつお金を貯蓄でき、さらには10%のリターンまでもらえるという保険商品です。
貯蓄型保険に加入すべきでない理由
ほとんどの期間で元本割れ
一見、貯蓄型保険はとてもメリットが大きいように見えますが、実はそうではありません。
一つ目のデメリットは、貯蓄型保険は加入期間のほとんどで元本割れしてしまうため、貯蓄を目的としては使いにくいという点です。
例えば、オリックス生命の終身保険RISEの例を見てみましょう。
60歳払込済の終身保険に30歳で加入した場合を考えてみましょう。
5年後の35歳の時に終身保険を解約したら、払い戻し率はどのくらいになるのでしょうか。
たったの67.8%しか戻ってこないんです。
約30年加入し、60歳払い込み直前で解約した場合でも、たった77.5%しか戻ってきません。
つまり、払い込み完了前に保険を解約しちゃったら、大損なんです。
子供が大学に通い始めて終身保険で貯めた金額を学費に充てたい!!って思ってもそんなことはできません。
だって、数十万円単位で損しちゃうからです。
貯蓄型保険で貯めたお金って、実質的に老後資金以外には使えないってことになるんですね。
ものすごく不便な貯蓄ですよね。
ですので、貯蓄目的で貯蓄型保険に加入するのは全く勧められません。
保険料が高い
一般に、貯蓄型保険は掛け捨てに比べて保険料が高くなります。
保険に貯蓄性を持たせているため、当然といえば当然ですね。
では、保険料はどのくらいになるのでしょうか。
オリックス生命の終身保険RISEの場合、40歳時点で1000万円保障の終身保険に加入した場合、月々の支払は3万5千円程度になります。
60歳まで払い続ければお金が戻ってくるとは言え、これはかなり負担の大きい保険料ですよね。
ちなみに、同じオリックス生命でも掛け捨ての場合は3500円程度なので、約10分の1の負担になります。
ですので、万が一の保障目的で保険に加入するのであれば、掛け捨ての方が望ましいでしょう。
インフレに弱い
貯蓄型保険を投資としてみた場合も、魅力的な商品とは言えません。
30年も加入してリターンがたったの10%程度ですからね。1年あたり0.3%の投資収益というのは、正直お話になりません。
例えば株式投資の場合は一般的に3% (厳しめに見積もっても2%)の収益を想定しますので、収益性は比べ物になりません。
また、貯蓄型保険の場合は実質的に流動性が低い(お金を自由に使えない)のも問題ですね。30年お金を払い続けないと20%以上元本割れしちゃいますからね。
ですので、貯蓄型保険を投資としてみた場合も、オススメできる点はありません。
まとめ
今回は、貯蓄型保険についてお話しました。
貯蓄型保険は、貯蓄・保険・投資の3つの性格を併せ持つ一方、どれも中途半端な商品となっています。
保障が必要なのであれば、掛け捨ての保険に入る方が結果的にお得になるでしょう。