今回は学資保険についてお話します。
学資保険って、本っ当に人気ですよね。
とりあえず子供ができたら学資保険に入っとけ!!みたいな風潮ってありませんか?
とか、
とかいう理由で学資保険に入ってる人も多いでしょう。
結論を先に言いますと、僕は学資保険をオススメしません!
さらに言うと、
「貯金できないから学資保険に入ろうかな?」って思ってる方は、特にやめておいた方がいいです。
それでは、なぜ学資保険がオススメじゃないのか、その理由について説明します。
学資保険って何?
まずは学資保険がどのような保険商品なのかについて、ご説明しましょう。(知ってる方も多いと思いますが…)
学資保険は、将来の学費の積立を目的とした金融商品です。
毎月決まった金額の保険料を支払っていき、子供がある年齢 (例えば18歳)になったら、祝い金・満期金などの名目で給付金が受け取れます。
また、契約期間中に、契約者が亡くなったり高度障害状態になった場合、保険料払い込みが免除されるという特徴もあります。
つまり、親が亡くなったり障害になって働けなくなったとしたら、それ以降は保険料を払わなくても、満期金は予定どおり満額受け取れるってことですね。
よく言われる学資保険のメリット
それでは、巷で言われている学資保険のメリットについて、貯金と比較しながらまとめてみましょう。
満期になるともらえるお金が増える
学資保険では、満期まで保険料を支払い続けると、払い込み額より受取額が大きくなります。
どれだけ受取額が多くなるかは、一般に返戻率 (へんれいりつ)と言われています。
返戻率が多い学資保険だと、大体110%くらいでしょうか。200万円払いこんだら、220万円返ってくるってことですね。
確かに、払った金額よりもらえる金額の方が多いんだったらお得な気がしますよね。
「保険料払った分よりもらえる金額の方が多いんだったら、貯金より得じゃね?とりあえず入っとこ」って考える人が多いのもうなずけます。
でも、よくよく考えるとそれほどお得じゃなかったりするんですが…
強制的にお金が貯まる
これも学資保険が人気な理由でしょう。
学資保険では、保険料の支払いという名目で、毎月強制的にお金が徴収されます。
「強制的に学費を貯められる」ということで、貯金が苦手な人に人気があるという側面があります。
実は、これが落とし穴になったりするんですが…
「学資保険=利子の多い貯金」と考えてはいけません
一般的によく言われている学資保険のメリットについて見てきました。
メリットだけを見ると、学資保険 = 利子の高い定期預金って単純に考えちゃう人が多いと思います。
でも、これは間違いです。
学資保険は、実はさほどお得ではないばかりか、場合によっては損をする場合もあるからです。
それでは、なぜ学資保険のデメリットについて見ていきましょう。
途中解約すると元本割れする場合がある
一つ目は、途中解約のリスクが大きいことです。
学資保険を中途解約すると、(商品にもよりますが)元本割れする場合が多いです。
これ、皆さん知っていることだと思うんですが、リスクを過少評価している方が多いんじゃないかと思うんですよね。
このリスク、「自分じゃ貯金できないから学資保険に入った」って方は特に注意が必要です。
だって、貯金ができないってことは、月々の収支が常にトントンってことですよね?
ちょっと予定外のことが起こると家計が赤字になってしまうわけです。
そんな方が、「今後18年間毎月1~2万円のお金を払い続ける」っていう契約を結ぶのはリスクが高いと思いませんか?
どこかの時点でお金が足りなくなり、学資保険を解約したくなる可能性がかなり高いはずです。
- 夫が病気になり、休職せざるを得なくなった。緊急事態なので学資保険で貯めたお金を今後の生活費に充てたい。
- 地震で戸建てが破損して修理費用が急に必要になった。貯金じゃ全然足りない。緊急事態なので学資保険で貯めたお金を修理費用に充てたい。
- 思ったより子供の塾代がかかる。まずは子供がいい大学に行くのが優先なんで、学資保険のお金を塾代に充てて、大学費用は奨学金で賄いたくなった。
・・・こんな事態が「絶対にない」って言えますか?
貯金が苦手な家庭は、中途解約リスクも高いはずなんです。
ですので、「貯金が苦手だから」っていう理由で「中途解約リスクが高い」学資保険に加入するのは、そもそも矛盾してるんですよ。
インフレしたら (実質)損をする
学資保険の2つ目の落とし穴は、全期間固定金利であることです。
これは具体例を挙げた方が分かりやすいと思います。
例えば、18年間の保険料が総額200万円、払戻金が220万円の学資保険を契約したとします。
18年間で10%払戻金が増えるので、年利は0.56%になります。
(正確に言うと、保険料は徐々に積み立てられるので、年利はもっと高くなります。が、説明が面倒くさい (笑)ので年利は0.56%として話を続けます。)
で、10年後に景気が良くなって、2%程度のインフレになったとしましょう。
銀行の金利はインフレ率に影響を受けます。ここでは仮に、1年定期預金の金利も2%になったとしましょう。
この定期預金を8年間続けると、利回りは16%になります。
(本当は複利なのでもっと利回りは大きくなりますが、説明が面倒くさいので以下略)
一方、学資保険の金利は、例え銀行の金利が上がっても変わりません。年間0.56%、18年間トータルで10%の利益という条件は変わりません。
つまり、このようなケースでは、銀行に預けた場合は232万円、学資保険の場合は220万円の受取になるので、銀行の定期預金の方が12万円以上得になるんです。
もちろん、今後の銀行金利がどうなるかは誰にもわかりません。
ですが、学資保険とは、0.56%という低い固定金利が18年間という長い期間続く金融商品であり、かなりのインフレリスクを伴うということは理解しておきましょう。
強制的に貯金ができる仕組みは他にもある
「貯金が苦手だから強制的に貯金する」という目的で学資保険に加入する方は、
完全に保険営業のセールストークにハマっています。
よくよく考えてみると、別に強制貯金できるのは学資保険だけじゃないんですよね。
例えば、銀行の自動積立だって強制的に貯金できますよね。
しかも、銀行の自動積立だったら、途中でやめても元本割れなんてしません。
「貯金を強制的にしたい」だけであれば、敢えて解約リスクの高い学資保険に加入する理由はないはずです。
先ほどお話したように、貯金が苦手な人は学資保険の中途解約リスクが高いです。ですので、そんな方こそ、学資保険ではなく銀行の自動積立をオススメします。
まとめ
今回は、学資保険がオススメできない理由についてお話しました。
学資保険は貯蓄の性格が強い金融商品ですが、利率の高い貯金と考えるのは危険です。
中途解約時には元本割れする可能性もありますし、インフレリスクにも対処できません。
また、「強制的に貯金ができる」というメリットも、銀行の自動積立で代用できます。
総合して、リスクのわりにリターンが少ないので、敢えて学資保険を選ぶ理由はないと個人的には考えます。