住宅に関しては、大きく分けて2つの派閥がありますよね。
そう、購入派か賃貸派か、です。
住宅は購入する方がいいのか、借りる方がいいのか。これは永遠のテーマですよね。いろいろなwebサイトやニュース記事で、どちらが得なのかの解説をしています。
まあ、よくある結論としては、「物件による」なんですがね。いい物件を選べば購入した方が得で、そうでなければ賃貸の方が得。
確かにその通りだと思うんですが、これだと面白くないので、今回は少し違った切り口で購入派・賃貸派を語ってみたいと思います。
家の購入を投資として考えてみよう
ここでは、賃貸vs購入という構図ではなく、家の購入を投資行動として考えてみましょう。例を挙げて説明するとわかりやすいと思います。
例えば、あなたが今5000万円を持っているとします。そして、家を購入すべきかどうか悩んでいるとします。あなたの選択肢は次の2つです。
- 5000万円の3LDKの家を購入し、そこに住む
- 家賃18万円の3LDKの家を借り、そこに住む
よくある賃貸派と購入派の比較では、住宅費のコストのみを比較してどっちが得かを計算しますよね。例えば、「買った場合はトータルで5000万円かかって、賃貸の場合は6000万円かかる。よって購入の方が得!!」みたいな感じですね。
ここでは、住宅費のコストの比較ではなく、もうちょっと踏み込んで考えてみましょう。購入した場合は5000万円の貯金がなくなりますよね。
では、賃貸の場合は?
手元にまだ5000万円残ってるんです。この5000万円、どうしましょうか?
貯金しましょうか?国債でも買いましょうか?株式を買いましょうか?
そうなんです。家を買わなかった場合は、手持ちの5000万円を別の投資先に投資できるんです。
つまり、
- 家を買う = 住宅に投資する
- 家を借りる = 別の投資先に投資する
って考えることができるんです。
では、購入派はなぜ家を買うのかというと、「住宅投資が最もお得だと思っている」からですよね。
一方、賃貸派はなぜ家を買わないのかというと、「住宅以外の投資先に魅力を感じている」からなんです。
このように、住宅購入を投資行動の一環として考えてみると、購入派 vs 賃貸派の構図を違った見方でとらえることができます。
家の購入と株式投資を比較してみよう
それでは、「住宅以外の投資先」の一例として、株式投資を挙げて、家の購入と比較してみましょう。
どちらの投資がお得かを比べるには、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」という2つの収益を考える必要があります。
ですので、まずは「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」について説明します。
あ、ちなみにえらいごっつい名前ですが、中身は大したことないのでそんなに身構えなくていいですよ。中学生にもわかるような内容です。
インカムゲインとは?
インカムゲインとは、資産を保有することで継続的に得られる利益のことです。
分かりやすい例が株式の配当金です。
株をやったことがある方なら知っていると思いますが、株って持ってるだけでお金をくれるんですよ。
銘柄によって違いますが、最近ですと配当利回りは大体2~3%くらいの場合が多いですかね。モノによっては0% (もらえない)だったり、10%近い場合もありますが。
つまり、手持ちの5000万円を配当3%の株式に投資した場合、年間150万円もらえることになります。
これが株式のインカムゲインです。
一方、家を購入した場合のインカムゲインは何でしょうか?
答えは家賃収入です。
「いやいや、買った家は自分のものだよ?誰からも家賃なんてもらえないでしょ」って思うかもしれませんが、実際には自分から家賃をもらってるんです。
どういうことか説明します。
賃貸の場合だと、月々18万円の家賃を払う必要がありますよね。でも、家を購入したらこの家賃は支払わなくていい。
つまり、この本来支払うはずだった月々18万円 = 住宅購入のキャピタルゲインって考えることができるんです。
ですので、住宅を購入した場合のキャピタルゲインは、年間216万円になります。
株式投資のインカムゲインは年間150万円で、住宅購入のインカムゲインは年間216万円です。
よって、インカムゲインに関しては住宅購入に軍配が上がります。
キャピタルゲインとは?
資産価値の上昇による利益のことをキャピタルゲインと言います。
・・・こんな堅苦しい言い方をするとわかりづらいんですが、ざっくり言うと売却益のことです。
5000万円の株式を6000万円で売却したらキャピタルゲインは1000万円です。
5000万円の株式を4000万円で売却したらキャピタルゲインは-1000万円です。
それでは、新築で購入して20年後に住宅を売却する場合のキャピタルゲインを考えてみましょう。
一般的に、日本の住宅のキャピタルゲインはマイナスになります。
実際、日本の住宅は新築時に最も価格が高いのが一般的ですよね。
これは、日本の不動産においては、築20年程度で建物部分の評価額が0円になってしまうからです。
つまり、土地部分3000万円、建物部分2000万円で取得した住宅を30年後に売却する場合は、キャピタルゲインは2000万円のマイナスになります。(実際には物件によります。)
次に、株式投資のキャピタルゲインを見てみましょう。
正直、20年後の株価を推測するのは困難なのですが、過去のデータを参考にしてみましょう。
1975年から2015年までの40年間で、20年後の日経平均株価は、平均して1.65倍になっていました。
この計算をもとにすると、5000万円の株式投資のキャピタルゲインは3250万円のプラスになります。
住宅購入のキャピタルゲインはマイナス、株式投資のキャピタルゲインはプラスですので、キャピタルゲインにおいては株式投資に軍配が上がります。
で、どっちが投資先として優れてるの?
まあ、結局場合によりけり、ってのが答えになっちゃいますね (笑)。
割安な住居を買えたら住宅投資の方が得でしょうし、割安な株を買えたら株式投資の方が得でしょう。
…ここまで引っ張っといてこんな結論だと怒られそうなので、miyane個人の考えを言います。
個人的には、株式投資に軍配が上がると考えています。(だからmiyaneは賃貸派を自称しています)
もうちょっと具体的に言うと、米国の株式 (特にS&P500連動ETF)に投資するのが良いと思っています。
その理由をちゃんと説明するには10コくらい記事を書く必要がありそうなんですが、簡単に言うとこんな感じです。
- 日本は今後人口が減少するから
- 米国は先進国で唯一人口が増え続けている上、実質GDPも1.5~2%程度で安定して高いから
この理由だと、米国の不動産への投資でもいいんですが、日本に住みながら米国の不動産を買うのは大変なので、簡単に買える米国株式がベストだと思っています。
まとめ
賃貸 vs 購入の構図は、少し見方を変えると、どれだけ日本の不動産への投資に魅力を感じているか、と考えることができます。
日本の不動産投資の未来は明るいと思うのであれば住宅を購入すべきです。
そうでないなら、住宅は賃貸にして、別の投資先に投資をすべきです。