妊娠前に絶対医療保険に加入したおくべき!っていう噂、聞いたことありませんか?
SNSで耳にしたことがある方も多いでしょうし、ネットの記事で見かけた方もいるでしょう。
実際、著名なFPも同じようなことを言っていますし。
今回は、この噂が本当かどうかについて検証します。
先に結論を言っておくと、
妊娠前に医療保険に加入してもお得なわけではない
です。
妊娠に保険加入するメリット
妊娠前に医療保険に入っておいた方がいいってよく言われる理由は
帝王切開になった時に給付金がもらえる
からです。
これ、意外と知られていないかもしれませんね。
通常分娩は保険適用外なんですが、実は帝王切開は保険適用の医療行為になるんです。
医療保険は、健康保険適用の医療行為に対してお金を出す仕組みになっているので、帝王切開時には保険金が貰えるわけです。
妊娠前の保険加入はお得なのかを検証
それでは、本当に妊娠前に医療保険に加入するとお得になるのか、実際に計算してみましょう。
今回は、ライフネット生命の終身医療保険を例に検証します。
ライフネット生命終身医療保険の内容
- 入院給付金は5,000円
- 手術給付金は5万円
- 保険料は月1,463円 (30歳女性の場合)
出産までの保険料はいくらになるの?
まずは、妊娠前に医療保険に加入した場合に、総額でいくら保険料を支払う必要があるかを計算してみましょう。
保険料を支払う期間は、
- 保険加入後から妊娠までにかかる期間
- 妊娠後、出産までの期間
の2つになります。
1つ目の、保険加入後から妊娠までにかかる期間について考えてみましょう。
この期間は人それぞれなんですが、妊活を始めてから妊娠までに平均で6か月かかるというデータがあります。
ここでは、妊娠までにかかる期間を6か月として計算しましょう。
2つ目の妊娠から出産までの期間ですが、一般的には10か月となるでしょう。
こちらは皆さん同じ長さになります。
それでは、払い込み保険料の総額を計算してみましょう。
計16か月の加入期間となりますので、
1,463円 × 16か月 = 23,408円
になります。
帝王切開になったらいくらもらえるの?
妊娠直前に保険に加入したら、出産までの保険料は約2万3千円になることが分かりました。
それでは、出産時に帝王切開になったら、保険金はいくらもらえるんでしょうか?
まず、手術給付金の5万円が支給されます。
次に、入院日数に応じて入院給付金が支給されますが、何日入院するかはケースバイケースでしょう。
ここでは、入院日数を8日として計算してみます。
すると、帝王切開により受け取れる給付金は、
5万円 (手術給付金) + 5000円 (1日当たりの入院給付金)×8日 = 9万円
となります。
帝王切開の割合
それでは、実際妊娠すると、どのくらいの割合で帝王切開になるのでしょうか。
厚生労働省の「医療機関における帝王切開娩出術の割合の年次推移」によると、年々帝王切開の割合は増えています。
2008年時点で、一般診療所では13.0%、一般病院では23.3%が帝王切開になるようですね。
厳密には、初産で帝王切開になる割合はもっと低くなるはずですが、ここでは帝王切開の割合を20%として、話を進めましょう。
結論:妊娠前に医療保険に加入すると5千円損をする
以上の試算をまとめると、
- 保険支払いの総額は2万3000円
- 帝王切開になれば、9万円の給付を受け取れる
- 帝王切開になる確率は20%
となります。
もう少し分かりやすく言い換えると、
20%で一等9万円が当たる宝くじに2万3000円払いますか?
って言う話になります。
結構微妙な金額ですよね。
80%の確率で2万3000円損しますが、20%の確率で6万7000円得するわけですからね。
なかなか判断に迷いますね。
こういう時、得か損かを判断するには収益の期待値を考えると便利です。
期待値とは、確率を考慮した平均値のことです。
つまり、平均的にいくら得 (損)するかを数値化したものですね。
それでは、実際に計算してみましょう。
20%の人が6万7000円得をして、80%の人が2万3000円損をするわけですので、
期待値 = 6万7000円×20% - 2万3000円×80% = -5000円
となります。
つまり、妊娠前に保険に加入すると、平均的には5,000円損しますので、加入しない方が得というわけですね。
ですので、「妊娠前に医療保険に加入すべき」という噂は、ウソという事になります。
まとめ
今回は、妊娠前に医療保険に加入すべきという噂について検証しました。
残念ながら、検証結果は妊娠前でも医療保険に加入すると損をするというものでした。
あまり周りの意見に惑わされず、ムダなお金を使わないように注意したいものです。