もし病気やケガで働けなくなったら…
そういった不安から収入保障保険に加入している方も多いでしょう。
収入保障保険は、死亡時だけでなく病気やケガで働けなくなった場合も保障してくれるのが利点ですよね。
ですが、収入保障保険の支払い条件を十分に理解して保険に加入している人は、意外と少ないんじゃないでしょうか。
あなたがもし、「収入保障保険に入っているから、病気や怪我をして今の仕事を続けられなくなっても、家族が今までと変わらず生活できる」と思っているようであれば、契約条件を間違って解釈しています。
収入保障保険の支払い条件はかなり厳しく設定されており、「今の仕事が続けられなくなった」程度では保険金は払われない可能性が高いです。
それでは、収入保障保険の注意点について具体的に見ていきましょう。
「働けない」っていうのはどういう状態のこと?
収入保障保険は、「働けなくなったら支払われる保険」と解釈している方も多いでしょう。
ここで問題になるのは、「働けない状態」とは具体的にどういう状態のことなのか?ということです。
ここでは、ライフネット生命の就業不能保険では、次のいずれかの場合を「就業不能状態」としています。
(1)病気やケガの治療を目的として、日本国内の病院または診療所において入院している状態
(2)病気やケガにより、医師の指示を受けて自宅等で在宅療養をしている状態
(1)は分かりやすいですね。入院していれば、就業不能と判断されます。
入院しながら働くことはできませんからね。
ですが、(1)の状態に当てはまるには、かなり長期間入院する必要があります。
収入保障保険には対象外の期間があって、例えばライフネット生命の場合は最低60日以上就業不能状態が続いている必要があります。
つまり、最低でも2か月以上は入院しっぱなしでなければ、収入保障保険は貰えないわけです。
ややこしいのは、(2)の状況ですね。
自宅療養でも保険金が支払われるのはありがたいんですが、この「在宅療養」がとても厳しい条件なんです。
「在宅療養」に関するライフネット生命の補足説明は以下の通りです。
<在宅療養とは>
病気またはケガにより、医師の医学的見地にもとづく指示を受けて、軽い家事(注1)および必要最小限の外出(注2)を除き、自宅等で、治療に専念することをいいます。なお、軽労働または座業(注3)ができる場合は、在宅療養をしているとはいいません。
- (注1) 簡単な炊事や衣類程度の洗濯等のことをいいます。
- (注2) 医療機関への通院等のことをいいます。
- (注3) 軽労働とは梱包(こんぽう)、検品等の作業のことをいい、座業とは事務等のことをいいます。
つまり、簡単な家事と通院以外何もできない状態のことを言います。
座って事務作業ができる場合や、簡単な梱包作業 (いわゆる内職のことでしょう)ができる状態では、保険金は支給されません。
自宅で座って作業できる場合も就業可能と判断されるので、いわゆる寝たきり状態でなければ支給条件を満たさないと言えるでしょう。
(「文字通りに受け取ると」ですよ。実際には支給条件はもうちょっと緩やかかもしれません。保険金の支払い判断はケースバイケースと思われますので。)
例えば、「体を壊して元の職場に戻れなくなったから、保険金支給して」というのは認められないわけですね。
元の職場は体力的に厳しくても、他の職場で働けるわけですからね。
内職であれば、自宅から外出せずに働くことができるわけでし。
あらゆる仕事ができない状態になって初めて、保険金は支給されます。
元の職場で働けるか働けないかというのは関係ないわけです。
また、うつ病などの精神病の場合も保険金は支給されない場合が多いので、注意が必要です。
このように、収入保障保険が支払われる条件はかなり厳しく設定されています。
他の会社でも同様に条件は厳しい
収入保障保険の支払い条件が厳しいのは、何もライフネット生命に限った話ではありません。
他の会社でも、支払い条件は厳しく設定されています。
日立キャピタル損害保険リビングエールの場合
就業不能状態を以下のように定めています。(参照元)
身体障害を被り、次のいずれかの事由によりいかなる業務にも全く従事できない状態をいいます。なお、被保険者が死亡した後は、いかなる場合でも就業不能とはいいません。
①その身体障害の治療のため、入院していること。
②入院しないでその身体障害につき医師の治療を受けていること。
③別表 1 に定める後遺障害のいずれかに該当していること。
「いかなる業務にも全く従事できない状態」となっていますね。
梱包作業などの簡単な業務ができる場合は、保険金の支払いがされないと捉えることができます。
ライフネット生命とほぼ同じ内容ですね。
アフラック給与サポート保険の場合
アフラック給与サポート保険の、「就労困難状態」を確認してみましょう。
以下の (1)入院か、(2)在宅医療の (a) (c)いずれかの状態に該当すれば、就労困難状態になります。(長期療養支援給付金の場合)
(1)入院:
医師による治療が必要であり、かつ自宅などでの治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念すること
(2) 在宅医療:
(a) 医師による治療が継続しており、かつ日本国内にある自宅など(障害者支援施設などを含みます)で、医師の管理下において計画的な治療に専念し、自宅などからの外出が困難な状態
(c) 国民年金法で定める障害等級1級または2級に認定された状態
(1)の入院状態は分かりやすいですが、(2)の在宅医療がちょっとややこしいですね。
(2)の(a)の定義はライフネット生命とは少し異なります。
就業可能かどうかは直接的には関係ないんですね。
ただ、「外出が困難」なので、かなり条件は厳しいです。
むしろライフネットでは、通院のための外出はOKでしたからね。
やはり、寝たきりなどの状態を想定していると思われます。
(2)の(c)に関しては、具体例を挙げるとわかりやすいです。
アフラックのHPによると、「障害等級1級または2級」とは、例えば
- 失明して外出が困難な状態
- 半身まひにより右半身の上下肢が自力で動かすことができない状態
- 慢性腎不全による永続的な人工透析療法を行っている状態
などが該当するようです。
支給条件は、かなり重い障害に限定されるようですね。
まとめ
就業不能保険は、万が一働けなくなった時にとても頼りになる保険です。
その一方で、就業不能保険を検討の際には、支払い条件を確認することがとても重要です。
就業不能保険の支払い条件はかなり厳しく設定されているからです。
特に、保険に加入した理由が「うつ病になった時のために…」とか「怪我をして今の仕事が続けられなくなったら…」などの場合は要注意です。
このような状態では保険金が支払われない可能性が高いからです。