「生前贈与」
聞いたことはあるけど、いまいちよく分からないって方も多いんじゃないでしょうか。
生前贈与はうまく使えば、大きな節税効果が見込めます。
今回は、普段あまり意識することはない、生前贈与を用いた節税法についてお話します。
特にある程度の試算がある方は、生前贈与についてはぜひ勉強しておきましょう。
そもそも生前贈与ってなんで節税効果があるの?
生前贈与とは、相続税対策を目的に、本来死後に贈与される予定の財産を生前に贈与することです。
みなさんご存じの通り、死後に財産を分与すると相続税が発生します。
一方、生前贈与には年間110万の非課税枠があります。
つまり、年間110万円以下の贈与であれば税金がとられないんです。
ですので、財産を一度に相続するよりちょこちょこ生前贈与した方がお得になるんですね。
少し具体的に考えてみましょう。
資産が5000万円あって、子ども1人に財産を相続する場合を考えてみましょう。
資産5000万っていうとかなり大きな金額に聞こえるかもしれませんが、自宅も含めて考えれば現実的な金額じゃないでしょうか。
相続税の非課税枠は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」ですので、今回のケースでは3600万円が非課税になります。
ですので、5000万円-3600万円 = 1400万円が課税されます。
この場合の相続税は
1400万円×15% (税率) - 50万円 (控除額) = 160万円
になります。
計算方法はこちらのサイトを参考にしました。
ですので、なんの税金対策を行わなければ、160万円お税金を納める必要があります。
それでは、生前贈与を利用するとどうなるんでしょうか。
子どものライフイベント (子どもの出産、子どもの進学など)に応じて、100万円の贈与を14回 (計1,400万円)行ったとします。
その場合、死後に子供に相続される金額は5,000万円 - 1,400万円= 3,600万円になって、非課税枠におさまるので、相続税は0円になります。
また、生前贈与も非課税枠の年間110万円に収まっているので、贈与税も0円です。
結果として、160万円も節税ができるわけですね。
生前贈与の注意点
生前贈与をうまく利用することで相続税を節約できますが、一つ注意が必要な点があります。
例えば、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与をしたとしましょう。
毎年の贈与額が非課税枠の110万円より少ないので、贈与税は0円になるはずです。
ですが、もともと1000万円の贈与をするつもりで、それを10回に分けて渡しているとみなされてしまう場合があります。
このような場合、贈与の初年度に1000万円の贈与分の贈与税がとられてしまいます。
ですので、生前贈与をする際には、「予め決まった額を非課税枠以内で毎年贈与している」と思われないようにする必要があります。
一番簡単な対策は、毎年贈与の契約書を交わすことです。
こうすれば、「予め1000万円を贈与するつもりだった」とみなされることはありません。
教育資金贈与と住宅取得金贈与もあわせて利用しましょう
生前贈与の非課税枠は毎年100万円ですが、子どもの教育資金や住宅取得時の援助の際には、より多くの金額を非課税で贈与することができます。
住宅取得金の贈与については、700万円 (認定長期優良住宅の場合は1200万円)まで非課税です。
こちらも通常の贈与に比べて大幅に非課税枠が多いですので、有効に利用しましょう。
また、教育資金に関しては、非課税枠は1,500万円になっています。
子どもの大学費用を全額負担できるくらいの非課税枠がありますね。
対象は30歳未満の子供もしくは孫に対してのみですので、注意しましょう。
特に子供が留学を検討している場合は、30歳を超えてからの留学することも結構あります。
MBA留学とかは会社に入社して数年後に行く場合が多いですからね。
このような場合は、教育費を非課税で贈与できません。
まとめ
今回は、生前贈与による節税についてお話しました。
贈与に関しては普段あまり考える機会のない事柄かと思いますが、節税効果としてはとても大きい制度です。
贈与する場合もお金をもらう場合も、生前贈与をうまく利用して支払う税金をなるべく少なくするように工夫しましょう。