今回は、「賃貸派の老後の住まい」について考えてみます。
賃貸派か購入派かを議論するうえで必ずと言っていいほど話題に上がるのが、
って意見ですよね。
反対に、このような老後の不安から、働いている間に住宅を購入する人も多いんじゃないでしょうか。
今回は、賃貸派の老後についてお話したいと思います。
賃貸派の老後の住まいが不安な理由
賃貸派の老後不安は、大きく分けて2つの理由があります。
一つ目は、賃貸派は家賃を払い続けなければならないことです。
確かに、年金で暮らす老後に家賃を払い続けなければならないのは不安です。
しかも、年金が今後減らされるかもしれない現状ではなおさらです。
一方購入派は、現役時代に家を購入してローンを完済してしまえば、老後に住宅ローンを支払う必要はないわけです。
二つ目の不安は、老後は部屋を借りにくいんじゃないか?という不安です。
家主が老人には家を貸したがらない、という話を聞いたことある方も多いんじゃないでしょうか。
確かに、何かあった時のことを考えると、老人には家を貸しにくいという理屈は、なんとなく理解できます。
ですので、「現役時代に家を買って、老後の住処を確保するべき」というのが購入派の主張です。
このような意見は一見もっともらしく見えますが、果たして本当に正しいのでしょうか。
個人的には、別に賃貸派だからと言って、特に老後生活で不利になることはないと思っています。
もっと言うと、「老後のためにも、定年前までに住宅を買っておくべき」っていう意見は、住宅販売業者のセールストークだと思っています。
実際には、「賃貸派の老後」はたいして問題になりません。
購入派も老後は結構な住居費がかかる
住宅は購入すればもうお金を一切払わなくていいって思い込んでいませんか?
実際、そんなことはありません。
住宅は購入した後も、ずーっとお金がかかるものなんです。
マンションの場合が分かりやすいですね。固定資産税、修繕積立、管理費がかかりますから。
戸建ての場合は固定資産税とメンテナンス費用がかかります。
結局、購入派でも月々4~5万程度のお金がかかっちゃうんですよね。住宅ローンを完済しても。(もちろん物件にもよりますが)
例えば修繕積立金は、購入直後は数千円程度ですが、年々上がっていきます。
築30年を超えると月々3万円以上かかる場合がほとんどでしょう。
じゃあ、戸建ての場合はお金がかからないのかというと、そんなことはありません。
月々計画的に支払う必要がないだけで、メンテナンス費用は結局かかります。
水回りは定期的に交換が必要ですし、見た目を気にするのであれば外壁塗装なんかもお金がかかります。
もちろん、設備が壊れたら修理しなければいけませんしね。
賃貸派は定年後に家賃・物価の安い地域に移住できる
って思った方もいるかと思います。
一見もっともらしい話ですが、一つ大切なことを忘れています。
今現在東京在住だからって、なんで老後も東京に住み続けることが前提なんですか?
定年後ってもう職場に通う必要がないんで、好きなところに引っ越せますよね。
というか、老後は「田舎に住みたい」とか「実家の近くに住みたい」とか、住む場所を変えることを考えている人って結構多いんじゃないですかね?
ちなみに、miyaneも現在は東京在住ですが、定年後は速攻で地方に引っ越す予定ですよ。
で、地方に行けば、家賃が安い家なんていっぱいあるんですよね。
例えば、新築・駅近で2LDK60m2とかでも、地方だと家賃7万円なんてざらですからね。
築2~30年とかであれば、家賃も4~5万くらいになりますしね。
駅から離れてて車必須の場所でもよければ、築30年で家賃1~2万円の一軒家なんてのもあったりしますよ。
なんて思った方もいるかもしれませんが、いやいや、30歳で家を買った購入派と同じ条件ですよ。
30歳で新築の家を買えば、定年の時は築30年ですからね。
こう考えると、賃貸派が購入派に比べて老後にお金がかかるってわけじゃないのが分かりますよね?
ちなみに、「賃貸派は老後に引っ越せる」って意外と盲点なんですよね。
例えば、東京でマンション見学に行ったことがある方、こんな営業トークされたことありませんか?
今家賃はいくらですか?10万円?
老後も賃貸に住んでると生活が大変ですよ?
年金は20万円くらいですから、半分も家賃にもってかれちゃいますからね。
住宅は早めに買って、ローンを支払っちゃえば、老後は安心ですよ。
この営業トークを聞いて、
なんて思っちゃったりしたことありませんか?
お分かりの通り、この営業トークっておかしいんです。老後も東京に住み続けることが前提で話をしていますが、そんなワケないんですよね。
でも、意外とこんな単純なことに気づかなかったりするんですよね。
老後に賃貸物件がなくて困る人はいない
「老後は賃貸物件がなかなか見つからなくて困る」っていうイメージがありますが、それは必ずしも正しくありません。
確かに、何かあった(亡くなった)時のことを考えて、老人に物件を貸すことを渋る大家さんは要るかもしれません。
でも、多分物件を貸すことを渋るのは、一人暮らしの後期高齢者に対してだけですよね?
そもそも、結婚されている方であれば、定年後は恐らく夫婦二人暮らしですよね?
夫婦二人暮らしの借主に対して、「何かあった時」のことを心配する大家さんっています?
もっと言うと、定年直後だと60歳くらいの元気な入居者ですよ?
もしこんな借主に対して「何かあった時」のことを考えて物件を貸し渋る大家さんがいたら、いくらなんでも心配性すぎですよ。
平均寿命まで、あと20年もありますからね。
賃貸に困る可能性があるのは、パートナーが亡くなって一人暮らしになった後期高齢者の方ですね。あくまで「可能性がある」だけですが。
ただ、仮に賃貸物件を見つけるのに困っても、老人ホームに入っちゃえばいいんですよね。
というかむしろ、このような状況では老人ホームが望ましいんじゃないでしょうか。
敢えて賃貸に住む理由はないですよね。
このように考えると、賃貸派が老後に住むところに困ることはありえない、と言えます。
まとめ
今回は「賃貸派の老後の住まい」について考えてみました。
「賃貸派は老後に困る」ということがよく言われますが、必ずしもそんなことはないです。
地方に移住してしまえば、月々住居費にかかる金額は購入派と同程度ですし、二人暮らしであれば貸してくれる物件がみつからないなんてことはまずないでしょう。
持ち家か賃貸かを考える際は、老後のことではなくて、今現在の自分たちの状況をもとに決めるべきです。
ポイント
- 住宅を購入しても老後に4~5万円の住居費がかかる
- 賃貸派は老後は家賃の安い地方に引っ越せばよい
- 老後に賃貸が借りられないわけではない