共働きの家計管理法のうち、お金が貯まる方法としてよく紹介されるのが、「片方の収入で生活する」方法です。
確かに、夫の収入だけで生活できれば、妻の収入はまるまる貯蓄できるというメリットはあります。
しかし、この家計管理の問題は、万人向けの家計管理ではないことです。
つまり、偶然ハマった家庭にとっては良いのですが、そうでない家庭にとっては家計管理がやりにくい方法なのです。
その理由を端的に言うと、「年間貯蓄額を自分で選べない」からです。
それでは、「片方の収入で生活する」タイプの家計管理法について、その特徴を見ていきましょう。
「片方の収入で生活する」家計管理とは
夫婦の一方の収入で家計費をすべて賄い、もう一方の収入はすべて貯金するという方法です。
一般的には、夫の収入で生活し、妻の収入を貯蓄する場合が多いです。
図にするとこんな感じです。
妻の収入が直接貯金口座に入れられます。
これなら、強制的に貯蓄できそうですね。
また、収入→支出の流れが一つだけなので、専業主婦家庭と同じように家計管理ができるというメリットもあります。
「片方の収入で生活する」家計管理の問題点
「片方の収入で生活する」家計管理は、夫婦別財布タイプの家計管理よりメリットが多いように思えますが、「万人向けではない」という欠点があります。
直観的には、
- 夫手取り年収300万、妻手取り年収300万のA夫婦
- 夫手取り年収800万、妻手取り年収100万のB夫婦
の2例を考えるとわかりやすいと思います。
A夫妻が夫の収入のみで生活すると、家計支出が年300万円、貯蓄が年300万円になります。
・・・バランス悪いですよね。
正直、もしA夫妻に子供がいた場合、生活費を年間300万円に抑えるのは、不可能ではないまでも、かなりしんどいですよね。
一方、貯蓄額は年300万円、貯蓄率50%というハイペースの貯蓄を積み上げる高貯蓄家庭になります。
もしA夫妻が「片方の収入で暮らす」家計管理を実行したら、爪に火をともす家計になってしまいます。
一方、B夫妻の場合、家計支出が年800万円、貯蓄が年100万円となります。
典型的なメタボ家計ですね。
正直、もっと貯蓄できるだろ、ってなりますよね。
B夫妻にとっては、「片方の収入で生活する」方法は、ゆるゆるの家計管理になってしまいます。
「片方の収入で生活する」家計管理は、妻の収入と目標とする貯蓄額が偶然マッチした場合にのみ有効な方法です。
ですが、「妻の収入と目標とする貯蓄額が同じ」なんて偶然は、そうめったにないですよね。
ほとんどの家庭では、A夫婦やB夫婦のように、キツキツ家計かメタボ家計かのどちらかになってしまうでしょう。
まとめ
「片方の収入で生活する」家計管理は、強制的に妻の収入を全額貯蓄できるというメリットがあります。
しかしながら、どんな家庭に対しても、「年間貯蓄額=妻の手取り年収」となってしまうという欠点があります。
年間貯蓄額が強制的に決まってしまうので、多くの家計にとって、貯蓄額が「多すぎる」か「少なすぎる」のどちらかになってしまいます。
そのため、家計も「節約しすぎなキツキツ家計」か、「無駄遣いの多いメタボ家計」のいずれかになってしまいます。
一見、メリットの多そうな方法なのですが、実は机上の空論の方法なのです。