「賃貸はいくら家賃を払い続けても自分のものにならないが、持ち家はローンを払い終えたら資産になる。だから持ち家の方がいい。」
こういった意見、よく見ますよね。確かに一理あるように聞こえます。
どうせお金を払うなら、自分の資産になった方がいいですもんね。
この理屈、半分あってるんですが、半分は間違いです。
「持ち家は資産である」は正しいです。家には価値がありますからね。その証拠に、買った物件は中古住宅として売却する事ができます。
ですが、「持ち家は資産になるから賃貸よりいい」は誤りです。持ち家は確かに資産なんですが、問題はその資産価値です。
極端な例ですが、1000万円出して100万円の資産価値の住宅を買った場合、果たして「買ったほうがお得」と言えますでしょうか。
言えないですよね。だって、90%も損してるんですから。
つまり、資産になる=お得ってイメージが、そもそも間違いなんです。
損か得かは購入金額に対して資産価値が高いか低いかで決まります。
持ち家の資産価値は高くない
物件にもよりますが、持ち家の資産価値は高くありません。その理由を見ていきましょう。
新築物件は購入後すぐに2~3割資産価値が下落する
これが致命的です。基本的に、新築物件には販売業者の利益や広告費などが物件価値に上乗せされています。ですので、新築で買った物件は、購入したとたんに2割程度下落します。
つまり、5000万円で家を購入した場合、その翌日には価値は4000万円まで下がります。
いきなり1000万円も値下がりする資産を、「資産価値が高い」とはとても言えないですよね。
資産価値が年々減少する
買った瞬間に1000万円下がった住宅の資産価値は、さらに年々下落していきます。
なぜ住宅の資産価値は年々下落していくのか?その理由はとても単純です。
みんな新築を欲しがる
からなんです。
新築を欲しがる人が多い→中古住宅の需要が減る→中古住宅の価値が下がるっていう図式ですね。
イギリスやアメリカみたいに、古い家ほど価値があるっていう文化があれば別ですが、新築が好まれる日本では住宅の資産価値が年々上がっていくことはほとんどありません。
さらに言うと、日本は地震が多いので、新築信仰がなくなることはないと考えられます。
(新しい建物 = 最新の建築技術が使われている = 安心・安全ってなるからです)
ですので、(少なくとも日本に限っては)住宅の資産価値が年々下がっていくことは避けられないと思います。
持ち家は資産ですらないという意見
住宅の資産価値は高くないという見方を紹介しましたが、そもそも住宅は資産ですらないという意見もあります。
おそらく、この主張をする人で最も有名なのはロバートキヨサキではないでしょうか。
「金持ち父さん貧乏父さん」の著者ですね。20年位前にとても売れた本なので、読んだことがある方も多いかと思います。
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
ロバートキヨサキは、
- 資産とは「自分のポケットにお金を入れてくれるもの」
- 負債とは「自分のポケットからお金を奪うもの」
というように資産と負債に独自の定義を与え、住宅が資産なのか負債なのかを議論しています。
住宅には、メンテナンス費用が掛かり、固定資産税もかかるという「自分のポケットからお金を奪うもの」という側面がありますよね。
この理由から、彼は住宅を負債ととらえ、住宅を持たないことを勧めています。
個人的には、住宅購入には「家賃を払わなくていい = 自分のポケットにお金を入れる」という側面もあるため、一概に住宅 = 負債と言い切るのはギモンなんですが、彼の主張はとても面白いと思います。
ちなみに、「金持ち父さん貧乏父さん」はとてもタメになる本なので、読んだことがない方はぜひ一読をおススメします。
「資産収入」に対する考え方がとても分かりやすく書かれていて、資産形成・投資を行うことの重要さを肌で感じることができます。
ただ、随所に読者をバカにしているように感じ取れる記述が散見されるのが玉にキズですね。
読んでるとちょっとイラっとするんですよね (^^;
ただ、とてもいい本なので、イラっとする感情を抑え込んで、ぜひ最後まで読破してみてください。
まとめ
「住宅は資産になるから賃貸よりお得」という意見をよく耳にしますが、これは正しい認識ではありません。
住宅の資産価値が年々上がり続けることは、日本では一部の例外を除いてほとんどありえません。
さらに、そもそも住宅は資産ではなく負債だという意見もあります。
住宅の購入を検討するときは、損得勘定ではなく、その家に住みたいかどうかを重視して検討するのが良いでしょう。