今回は、賃貸派の貯金事情についてお話します。
貯金がヘタな人は、貯金ができない理由を家賃が高いせいにしている人が多い気がします。
っていう意見、よく耳にする気がします。
でも、実際のところ、賃貸派だと本当に貯金ができないんでしょうか?
…いやいや、賃貸派でもできますよ、貯金。
賃貸だから貯金ができない!!って言っている人は、恐らく家を買っても貯金できないと思います。
本当は自分の家計管理方法に問題があるのに、貯金ができないのを賃貸のせいにしているだけなんですから。
実際、僕は賃貸派ですが、32歳で5000万円を貯めましたからね。
さらに言うと、僕は、
賃貸だと貯金できないどころか、むしろ持ち家派より貯金をしやすい
と思っています。
そこで今回は、賃貸派が購入派より貯金がしやすい理由についてお話します。
貯金ができないからという理由で家の購入を検討するのは筋違いです。むしろ逆にお金が貯まりづらくなるので注意しましょう。
ちなみに、家の購入を全否定しているわけではありません。
購入にもメリットが有ります。(購入した家に住み続ければ)ローン支払い後の家賃負担が比較的軽くなりますからね。
今回お話しするのは、ローンの支払い期間中はむしろ賃貸の方が貯金できますよって話です。
持ち家派が貯金しにくくなる理由
家を買うと住居費が高くなる
まず第一に、家を買うと住居費が上がります。
って言う持ち家派の人もいるでしょう。
確かに、新築物件の購入直後は周りの賃貸物件の賃料より割安になる場合が多いです。
ですが、住居費の額で見ると、ほとんどの方が家を買う前より住居費が増えているはずです。
なぜ家を買うと住居費が増えるのか?
その理由は、家を購入すると賃貸時よりも広い家に住む場合がほとんどだからです。
2才と4才と二人の子どもを持つ4人家族のAさんを例に、具体的なシチュエーションを考えてみましょう。
Aさんは今、2LDKの賃貸に住んでいます。
子供が小さいので、現在の住居でも特に不自由なく暮らしています。
そんなある日、Aさんは家を買った同僚と飲みに行きました。
そこで同僚は、
と家を買うことをAさんに勧めたのです。急に家賃を払い続けるのがもったいないと思い始めたAさんは、家を探し始めました。
さてここで問題です。Aさんはどの程度の広さの家を探すでしょうか。
恐らく、3LDK以上の広さの家を探し始めるでしょう。
なぜなら、子供が二人いるので、将来的に子供部屋2つと夫婦の寝室が必要になるからです。
家を買うときって、子供が将来大きくなった後に必要な広さに照準を合わせて家を探すんですよね。
だって、購入後十数年経って家が手狭になっちゃったら、また買いなおさなきゃいけなくなっちゃいますからね。
なので、どうしても今住んでいる賃貸よりも広い家を買うことになるんです。
広い家に住むってことは、月々の住居費が高くなるってことですよね。
ですので、
家を買う
将来のことを考えて広い家にする
住居費が高くなる
ってなるので、家を買うと住居費が高くなっちゃうんです。
なお、余談ですが「家を買うと住居費 (ローン支払い+修繕積立などの諸経費)は周りの賃貸物件の賃料より安くなるので、家を買った方が得」ってよく言われますが、これは正しくありません。
家を買った方が住居費が安くなるのは、家の購入後数年間だけです。
実際には家を購入後数年経つと割高になってきます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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光熱費も増える
しかも、支出が増えるのは住居費だけじゃないんですね。
まず、光熱費も増えるんです。
家が広い上に、床暖房だとかなんだとかでゴテゴテ最新の設備がついてたりしますからね。
実際、マンションを購入して光熱費が一万円上がってビックリした、なんて話も聞きますしね。
さらに言うと、戸建てを購入した場合は光熱費がもっと上がります。
一般に戸建ての方がマンションより光熱費が高くなるからです。
どうしても戸建てよりマンションの方が断熱が良いですからね。
また、家を買うと、管理費や修繕積立金、固定資産税も支払う必要が出てきます。
管理費は1万円程度の場合が多いでしょうか。
修繕積立金は入居時は5~6000円程度ですが、年々上昇していき、築30年を超えると月々3~4万円程度になる場合が多いでしょう。
これらもかなり大きな支出ですね。
そのうえ、固定資産税もかかりますからね。
家を買うということは、住居費だけでなく光熱費などの関連支出も増えるってことを忘れてはいけません。
基本的には生活コストが全体的に上昇することを覚悟すべきですね。
ボーナス貯金ができなくなる場合も
住宅を購入した方のほとんどは、ボーナスの一定額をローン返済に充てているんじゃないでしょうか。
ボーナス払いを選択している方もいるでしょうし、ボーナス分を繰り上げ返済に充てている方もいるでしょう。
実際、35歳で35年ローンを組んだ場合、普通に返済すると70歳まで住宅ローンを払い続ける必要がありますからね。繰り上げ返済で返済期間を短縮するのは必須ですよね。
60歳定年時にローン支払いを完了しようとすると、10年分も繰り上げ返済が必要ですよね。
じゃ、どうするかというと、多くの方はボーナスのかなりの部分をローン返済に充てているんじゃないでしょうか。
ですが、コレって貯金という観点からするとかなり致命的ですよね。
貯金上手の方なら身に染みて分かっていると思いますが、貯金する上でボーナスって本当に大きいんですよね。
年間貯金額の半分近くがボーナスからの貯金って場合も多いんじゃないでしょうか。
例えば、大手企業の平均賞与額はだいたい90万円くらいと言われています。手取りだと80万円くらいでしょうか。
つまり、ボーナスを全額貯金するだけで、年間160万円も貯金できてしまうんです。
これは本っ当に大きいですよね。
で、問題なのは、家を買った人は、ローンを繰り上げ返済する必要があるんで、ボーナスを貯金に充てられないんです。
家を買うってことは、一番大きな貯金源を失ってしまうってことなんですね。
住宅ローンを払いながら老後資金を貯める難しさ
このように、家を買うと貯金をするのが難しくなってしまいます。
ただ、貯金をするのが難しいからと言って、購入派が貯金をしなくてもいいわけではありません。
よく、
なんて主張を聞くことがありますが、この認識はかなり甘いと言わざるを得ません。
住宅ローンを払い終えるだけでは、老後資金が圧倒的に足りないからです。
一般に、老後資金として定年までに3000万円を貯める必要があると言われています。
例えば、40歳で家を購入した場合を考えてみましょう。
60歳までにローンを完済して3000万円の貯金をするには、ローンを繰り上げ返済して返済期間15年間も短縮しつつ、毎年150万円の貯金を積み上げなければなりません。
しかも、子供の教育費を支払いながらです。
正直、これはかなりキツイんじゃないでしょうか。
特に、「どうせならいい家に住みたい」とか言って背伸びして身の丈に合わない家を買った場合は。
まとめ
今回は、賃貸派の貯金事情についてお話しました。
「賃貸だと家賃が高くて貯金ができない」っていう話を聞くことがありますが、それは正しくありません。
むしろ賃貸は持ち家よりお金が貯まりやすいです。
「貯金できないのは賃貸だから仕方がない」なんて言い訳をせずに、家計管理を見直して貯金ができる体質に変えていくよう努力しましょう。
家を買うことは何の解決策にもなりません。