「今の若い世代は年金保険料を払っても払い損になる」って話、誰もが一度は耳にしたことがありますよね。
どうせ損するなら年金なんて払いたくない!!って思っちゃうのも理解できます。
「年金を払うと損」理論は年金不信のひとつの理由ですね。
でもですね。実際は払い損なんかじゃないんですよ。
厚生年金はよくできたシステムで、ちゃあんと将来の僕らがお得になるように設計されてるんですね。
年金って毎月給料から天引きされるものだからなのか、ネガティブなイメージが強いですよね。
とりあえず「今後年金は貰えないから」って言っときゃいいみたいな風潮ってありませんか?
でも実際試算してみると、払い損になるって事態はかなり非現実的であることがよく分かります。
それでは、実際の年金保険料の支払いと受け取れる金額を試算してみましょう。
きっと「年金って払い損になるんじゃ?」なんていう不安は吹っ飛んじゃいますよ。
年金の支払額・受け取り額の試算
それでは、実際に年金の払込総額と平均年齢まで生きた場合の受取額を計算してみましょう。
共働き家庭と片働き家庭の2つの場合で試算します。
共働き家庭の場合
以下の条件で試算します。
- 夫婦は同い年で22歳大卒から60歳定年までの38年間厚生年金に加入
- 平均標準報酬月額は夫婦ともに30万円
- 年金は65歳から受け取り
- 夫は81歳まで、妻は87歳まで年金を受けとる
それでは、60歳定年までの年金保険料支払額は合わせていくらになるのでしょうか。
夫、妻共に月額の年金保険料は
30万円×18.182%=5万4546円
になります。
夫婦あわせて10万円ちょっとですね。
これを38年間払い続けるので、夫婦二人が払い込んだ年金保険料の総額は
5万4546円×456カ月×2=4974万5952円
になります。結構な金額になりますね。
それでは、次に受け取り総額を計算してみましょう。
夫と妻の厚生年金は、一人当たり年額
779,300円×{456か月(払い込み月数)+24か月(全額免除期間)×1/2} (基礎年金分)
+ 30万円×5.769/1000×456か月 = 154万9016円
受け取れます。
ですので、夫婦二人で年間約310万円がもらえますね。毎月25万8千円の年金になるわけですね。十分生活できる金額ですね。
年金の受け取り期間は、平均寿命をもとに算出します。
夫が65歳から81歳までの16年間、妻が65歳から87歳までの22年間受け取れることになります。
ですので、年金受取額の総額は、
154万9015円×16年間 + 154万9015円×22年間 =5886万2608円
になります。
…差し引き938万6656円もお得になっちゃいましたね。
年金は払い損なんて言った人は誰ですかね?
少なくとも現行制度が続く限りは、払い損にはならないですね。
片働き家庭の場合
片働き家庭の年金試算の条件は、以下の通りです。
- 夫と妻は同い年で、大学卒業と同時に結婚
- 夫は22歳大卒から60歳定年までの38年間厚生年金に加入
- 夫の平均標準報酬月額は30万円とする
- 妻は就職せずにずっと専業主婦
- 年金は65歳から受け取り
- 夫は81歳まで、妻は87歳まで年金を受けとる
それでは、夫の月額年金保険料を計算してみましょう。
30万円×18.182%=5万4546円
になります。この計算は先ほどの共働き家庭の場合と同じですね。
これを38年間払い続けるので、年金保険料の総額は
5万4546円×456カ月=2487万2976円
になります。
次に、受取額を試算してみましょう。
夫の厚生年金は、共働きの場合の試算と同額です。
779,300円×{456か月(払い込み月数)+24か月(全額免除期間)×1/2} (基礎年金分)
+ 30万円×5.769/1000×456か月 = 154万9016円
になります。
さらに、片働き家庭では妻の基礎年金も受け取れます。
この金額が、75万9818円になります。
ですので、片働き家庭の場合の年金総額は、
154万9015円×16年間 + 75万9818円×22年間 =4150万236円
になります。
なんと1662万7260円もお得になっちゃいます!!
こんなもん年金に加入しとかないと損ですよね。
「年金破綻するかも」とかいって厚生年金の加入をやめちゃったら (やめられないですが)、本っ当に大損ですよね。
国の年金制度に感謝しつつ、喜んで年金保険料を払いましょう。
自己負担額で見るとさらにお得!!
厚生年金が払い損どころか大分払い得なのは分かっていただけたかと思います。
先ほどの試算は払い込み総額に対して、いくら受け取るのか、を計算しています。
自己負担額でみると、年金はもっともっとお得なんです!!
厚生年金額の保険料って半分は勤め先の企業が肩代わりしてくれてるって知ってましたか?
先ほど、月収30万円の人の厚生年金保険料が約5万5000円だって試算しましたよね。
でも、実際はそんなに大きな金額を払っているわけじゃないですよね?
実際の自腹額って2万7500円なんです。残りの2万7500円は会社が代わりに払ってくれてるんですね。
ですので、実負担に対する年金受取額を考えると、もっともっとお得になるんですね。
例えば、先ほどの共働き夫婦の例では、年金保険料の自己負担は半額の2487万2976円になります。
受取額が5886万2608円なので、なんと3398万円もお得になっちゃいます。
払い込んだ金額の倍以上のお金が受け取れるなんて、太っ腹もいいとこですね。
片働き夫婦の場合も同様にメチャメチャお得なんです。
保険料の自己負担額は1243万6488円で、受取額が4150万236円なので、
2906万3748円が貰い得になります。
これだけ受取額と払い込み額に差があると、今後年金の受け取り額が下がろうが、払い損になることは基本的にあり得ないですよね。
「今後少子化になって年金受取額が減るから、若い世代はほとんど年金の払い損になる」なんてことを言っている人がいますが、そんなレベルの話ではないです。
年金を払い込んだ総額 (企業負担と個人負担の合計)に対して、支給額がマイナスになることはあるかもしれません。
しかし、今後仮に少子化の歯止めが全くかからなくても、個人負担に対して支給額がマイナスになることはないでしょう。
勤め先が保険料の半額を払ってくれているのは本当にありがたいことなんです。
まとめ
今回は、「年金は払い損か?」をテーマにお話ししました。
まず、現行の年金支給水準では、年金保険料の総払込額に対して受給額はプラスになっています。
しかも、年金保険料は半額を勤め先が負担しているので、実際私たちが負担している金額に対しては、2倍以上の年金がもらえることになります。
日本の年金システムは、本当にお得なシステムになっています。
「年金は払い損」なんかではなく、「入らないと損」なので、注意しましょう。