生命保険が必要ない家庭は意外と多いということを以前お話ししました。
では、次に問題になるのが、生命保険が必要な場合にはいくら保険をかければいいのか、ですよね。
ここでよくやってしまう間違いは、「取りあえず多めにかけておけば安心!!」と、必要額を試算せず、感覚で保障額を決めてしまうことです。
多すぎる生命保険料は、月々の支払い負担が大きくなるだけでなく、いざ保険金を受け取る事態になったときにも大きな問題となります。多すぎる生命保険受取金は家計の破綻に繋がりかねないからです。
「いやいや、受取額が増えるだけでしょ?家計が楽になるだけじゃん。なんで家計が破綻するの?」
って思っているかた、そんな単純ではないんです。多すぎるお金を持つと、気が大きくなって思いもよらぬ問題が発生します。
今回は、なぜ生命保険をかけすぎることが危険なのか、考えてみましょう。
生命保険をかけすぎるリスク
計画的に大金を使うのは意外と難しい
まず基本的に、急に多額のお金を手に入れると冷静さを失って、パッと使っちゃうことがあるんです。
例えば、「1000万円の宝くじに当たったけど、家の修繕とか車の買い替えとか旅行とかにお金を使って、すぐになくなっちゃった」なんて話、聞いたことありません?
冷静に考えると、コレってすっごいもったいないことなんですよ。
だって、老後に貯めるべき金額って3000万円って言われてますけど、その1/3ですよ?これをそのまま貯金しておけば、今後老後までに貯めなきゃいけないお金がグッと減るのに、使い切っちゃうなんて考えられないですよね?
もっと言うと、1000万円でETF (上場投資信託)を買えば、2~3%くらいの配当が得られるんで、何もしなくても2~30万円毎年もらえるんですよね。
宝くじで10万円当たるってメッチャ嬉しいことだと思うんですけど、それが毎年2~3本、未来永劫当たるようなイメージなんですよ、1000万円をちゃんと投資に使うのって。
あぶく銭を得ると、気が大きくなって、貴重なお金をパッとムダ使いしちゃったりするんですよね。
冷静な判断力を失っちゃうんです。
同じことが生命保険をもらった場合にも言えるんです。
いきなり3~4000万円くらいのお金を手に入れるわけですからね。
手元に3~4000万円もの大金があると、気が大きくなって、
- 今後子供が大きくなると広い家が必要になると思うから、新しい家を買っちゃおう!!とか思ったりしませんか?
- お金があるから!!といって、塾や私立中高への進学や交換留学など際限なく教育費に使ったりしませんか?
- 「旦那が亡くなって子供を元気づけるために・・・」といって海外旅行に奮発したりしませんか?
大金を持った時の誘惑って結構大きいんです。だって、買えるものがたくさんあるんですから。「買えるけど買わない」っていう判断ができる必要があるんですよね。
つまり、残された家族に3~4000万円もの大金を計画的に使えるだけのマネーリテラシーはありますか?って話なんですよ。
ちなみに、miyaneは今5000万円の資産がありますが、嫁さんの金銭感覚をそこまで信用していません (笑)。
ですので、自分に何かあった時に、嫁さんが残された5000万円をうまく使えるのか?が目下最大の不安事なんです。
大金を計画的に使える金銭感覚っていうのは、身に着けるのはなかなか難しいんです。
一度支出を増やすとなかなか減らせない
例え一時的に金銭感覚が狂っても、後で冷静になって元に戻ればいいんですが、これがなかなか難しいんです。
普段の家計管理でも経験ある方も多いと思います。
一度生活水準を上げるとなかなか戻せないですよね。あれと同じです。
単純に贅沢な暮らしがやめられない場合もありますが、生活水準を戻したくても戻せない場合もあります。
例えば、「家が手狭になってきた」という理由で、生命保険の受取金を使って、今より広い分譲マンションに引っ越した場合を考えてみましょう。
広い家に引っ越すと、月々の生活コストが強制的に上がってしまうんです。例えば、管理費・修繕積立・固定資産税が上がりますよね。また、光熱費も家の広さに応じて高くなりますし、家が広くなったことで家具を買い足す場合も多いでしょう。マンションの他の住人の所得レベルも高くなってる場合、ご近所やママ友との付き合いなどの交際費が上がる場合もあるでしょう。
このように、何かお金を使ってしまうことで、月々のコストが上がってしまう場合があります。似たような状況は他にもあります。例えば、車を買った場合、駐車場代や車検代、自動車保険費にガソリン代など、月々の支出が数万円増えますよね。
お金を使うときには、このことまで頭が回らないので、後々生活が苦しくなってしまうのです。
お金がありすぎるからこそ生活が破綻する
最後に、大金を持つことのリスクを端的に表している話を紹介しましょう。
スポーツの世界で、現役時代に大金を稼いだスター選手が、現役引退後に破産してしまうケースを聞いたことがあると思います。
例えば、アメリカのアメフト選手では、引退後80%が破産してしまうというデータがあるんです。アメフト選手と言えば、平均年俸が2億を超える、金持ち集団ですよね。にわかには信じがたい話なんですが、これは事実なんです。
こんなことが起こってしまうのは、現役引退後には収入が激減するにも関わらず、生活水準を落とせないことが一因でしょう。
また、宝くじで高額当選したものの、その後金銭感覚が狂って結局自己破産したっていうケースを聞いたことがありませんか?
実際、宝くじに当たった人の約6割が当選後5年以内に破産すると言われています。
生命保険の受取金 = 宝くじの当選金と考えると、生命保険を受け取るという状況は、宝くじの高額当選と大差ありませんよね。
これらの事実が示すのは、一時的に大きな金額が手に入る状況では、その後の人生の家計管理が著しく難しくなる、ということです。
つまり、高額な生命保険金をかけるということは、その後の自己破産のリスクを高める行為だということを理解しておくべきでしょう。
まとめ
今回は、生命保険の受取額が大きすぎる場合のリスクについてお話ししました。
一般に、お金はあればあるほどいいと思われがちですが、それがあぶく銭の場合は必ずしもそうではありません。
急に大金を手に入れると、計画的にお金を使ってしまうのが難しくなるだけでなく、気が大きくなってしまい、金銭感覚が狂ってしまう場合があります。
それがもとで、かえって家計を破綻させてしまうこともあり得るのです。