生命保険って絶対に必要って思い込んでいませんか?
「とりあえず結婚したら生命保険に入っとけ!」っていう暗黙のルールのようなものってありますよね。
実際、生命保険の加入率は約90%もあるので、ほとんどの家庭が加入しているといってもいいでしょう。
でも、多くの人は夫が亡くなった時の経済リスクを正確にとらえられていないと思うんです。
もうちょっと正確に言うと、死亡リスクを過大評価しています。
生命保険を検討するにあたっては、自分または配偶者が亡くなった場合の経済リスクを正確にとらえることが重要です。
今回は、生命保険は本当に誰にでも必要なのか?について考えてみたいと思います。
実は離婚の方が経済リスクは20倍も大きい
ここでは、妻や夫が亡くなった時の経済リスクについて考えてみたいと思います。
実は、妻や夫が亡くなった時の経済リスクって印象ほど大きくないんです。
これは、離婚した時の経済リスクと比べてみるとよく分かります。
夫の収入がなくなり、妻子が残されるという意味では、夫婦が離婚した時と夫が亡くなる時って、まったく状況が同じなわけです。
まず、「夫が亡くなった場合」と「離婚した場合」それぞれの経済的損失について考えてみましょう。
次の平凡な専業主婦家庭のAさん家族を想定して、経済的損失をざっくりと計算します。
Aさんの家庭状況
- 夫は40歳会社員で年収600万円
- 妻は40歳で専業主婦
- 子供は0歳児が一人
まず、夫が亡くなった場合、残された妻子の収入がどうなるか見てみましょう。
夫が亡くなった場合、妻は遺族厚生年金が受け取れます。
あくまで概算ですが、子供が18歳までの18年間は月額13万円、それ以降は月額10万円程度受け取ることができます。
妻が85歳まで生きるとすると、総額約6,000万円にもなります。
さらに、夫が亡くなった場合には、
- 遺族退職金
- 勤務先の共済会の慶弔金 (数百万円程度?)
- 夫婦の資産の全額 (離婚の場合は半額しかもらえない)
- もちろん生命保険に加入していれば、保険金
など、もらえる可能性があるお金がてんこ盛りです。
一方、夫婦が離婚した場合に、妻子がどのくらいのお金をもらえるんでしょうか。
離婚時に妻がもらえるお金は養育費です。
養育費は、だいたい月額7万円程度が相場ですが、子供が18歳になるまでしかもらえません。
ですので、養育費の総額は、だいたい1,500万円程度です。
そして、財産分与により、夫婦の貯金の半分は夫のモノになります。
もちろん、遺族退職金や慶弔金ももらえません。
夫に遺産がなく、遺族退職金や慶弔金もなかったとしても、「夫が亡くなった時」のほうが「離婚した時」より
6000万円÷1500万円 = 4倍
も、もらえるお金が大きいんです。
次に、「夫が亡くなる状況」と「離婚する状況」はそれぞれどのくらいの確率で起こるのかを見てみましょう。
40歳男性が60歳までの20年間に亡くなる確率は約6%ですので、夫が亡くなる確率は6%と考えてよいでしょう。
一方、日本における離婚率は約30%となります。
以上より、「離婚」のほうが「夫が亡くなる状況」より約5倍も起こりやすいといえます。
「離婚」のほうが収入が4倍も少なく、5倍も起こりやすいので、
離婚の経済リスクは夫が亡くなる経済リスクより20倍大きい
と言えると思います。
「旦那に何かあったら大変!!路頭に迷う!」と思っていたそこの奥さん。
旦那と離婚したほうが20倍も大変なんです。
生命保険の見直しのことで旦那と大喧嘩しているそこの奥さん。
リスクマネジメントを完全に間違ってますよ。
旦那と喧嘩して離婚してしまうリスクと比べると、生命保険なんてたいしたことないんです。
こうして離婚リスクと比較してみると、夫が亡くなるときの経済リスクって、想像していたよりも大したことないことがわかると思います。
回りを見てみると、離婚後にシングルマザーで立派に子供を育てている家庭っていっぱいありますよね。
確かに経済的には少し大変かもしれませんが、路頭に迷ったり、お金がなくて悲惨な思いをしているわけではないですよね。
楽しそうに毎日を生活している方も多いと思います。
生命保険で備えるリスクって、このような離婚シングルマザーの家庭よりも経済的には恵まれた状況に備えるものなんです。
そこまでおびえる必要はありませんよね。
夫が亡くなった時のリスクを過大評価する理由
それでは、なぜ多くの人は死亡リスクを過大評価してしまうんでしょうか。
これはおそらく、配偶者が亡くなることに大して、とてもネガティブな印象があるからです。
誰だって、自分がいなくなるのも、家族が亡くなるのも怖いですからね。
その「怖い」という気持ちから、「備えなきゃ」という考えて、「生命保険に入る」という行動につながるわけです。
人間の行動って、感情にすごい影響を受けるんですね。
だって、経済リスクはもっと大きいのに、だれも離婚には備えようとはしないですよね。
離婚には「怖い」というイメージはないので、例えリスクが大きくても、誰も備えようとはしないわけです。
まとめ
今回は、夫や妻の死亡時の経済リスクより、離婚の経済リスクの方がよっぽど大きいという事についてお話しました。
生命保険を検討するうえでは、生命保険の経済リスクを正しくとらえる必要があります。
あまり「怖い」という印象に流されずに、自分や配偶者が亡くなった場合に備えて、どの程度の保証が本当に必要なのかについて冷静に考えてみることが重要です。